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東京国立博物館 1(表慶館、黒田記念館)

東京国立博物館は、展示物ももちろん貴重なものが揃っているのですが、建物自体が日本建築の博物館のようで本当にすごい施設だと思います。

 

入り口向かって左にある、ドーム屋根が特徴的な建物です。設計は片山東熊。大正天皇のご成婚を記念して作られた日本初の美術館とのことです。

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エントランスを通ると中央のドーム屋根の真下に来て、建築の見どころとしてはいきなりクライマックスという感じです。ドームの外周をそのまま下ろしてきたような丸い吹き抜けになっていて、壮麗な空間に圧倒されます。

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真上を向くとドーム屋根の裏側を見ることができます。

ドーム部分には様々な絵柄が描かれていて、パレットやハープがあったりするのは美術館ならではだと思いました。最上部に嵌め込まれたガラスには星や草花のような意匠が刻まれています。

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足元に目を向けると、床も細かいタイルで鮮やかに彩られています。

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展覧会では、この真ん中のドームの左右にある2階建のウイング部分が展示室として使われます。

両端にある小さいドームは階段室で、この階段を使って1階と2階の展示室を行き来することになります。柔らかいクリーム色の壁を背景に黒い手すりが繊細な曲線を描いていて、これ以上ないほど美しいです。

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手すりの装飾は、中国的な意匠とアールヌーヴォーを組み合わせたようなデザインになっています。

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2階の階段の下にはドームを逆さにしたような形の装飾がついていました。ドームの先端部分の彫刻の細かさに驚かされます。照明のデザインもよく見ると個性的で、隅々までこだわりを感じます。

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私が訪れた時には、ここで日本の伝統芸能の展覧会が行われていました。洋風建築の極致としての空間に和の鮮やかな色使いが映える素晴らしい展示でした。

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  • 黒田記念館

道を隔てて芸大側にある、黒田清輝の作品を展示している施設です。入場無料です。

設計は岡田信一郎とのこと。クラシカルな外観で、3個並んだアーチ窓と両端の柱がデザインのポイントになっています。

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展示室は2階にあるので、1階のエントランスを入った後、その横にある階段を上って向かいます。この階段の手すりもアールヌーヴォー風になっています。

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階段を上がったところです。外からも見える特徴的なアーチ窓ですが、内側からは上野公園一帯の緑を望むことができます。

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展示室内の様子。ペールトーンで彩色され、細やかな装飾が施されています。大きな部屋ではないのですが、ここに黒田清輝の作品が20点ほど展示されています。

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トップライトは現在は照明が入っていますが、かつては自然光のみで明かりを取っていたそうです。当時は時間帯や気候によって室内の明るさが変わっていたはずです。

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なんと彼が実際に使っていたというパレットまで展示されていました。私が見ても何も分かりませんが、美術を志す方にとってはきっと胸に迫るものがあることだろうと思いました。

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