東京ミッドタウンに隣接するデザイン関係のギャラリーです。ここに存在することは知っていたのですが、中に入ったのは初めてでした。
外観。少し浮き上がった折り紙のような三角形が2個並んでいます。
GALLERY 3
左側の三角形はGALLERY 3という小さい展示室です。
中に入ると薄暗い空間が広がっていました。青い照明が打ちっ放しのコンクリートをぼんやりと照らしています。
今回の展示に限ったものかもしれませんが、床には藍染のようなカーペットが敷き詰められ、窓の方にはステンドグラスを思わせる装飾がされています。青という色で繋がれた和洋折衷の不思議な空間です。
展示ケース下のライトがカーペットを照らす様子が美しく、壁のコンクリートにもその光が柔らかく映っています。
展示室の一番奥、左側の三角形の端の部分。まるで教会のようです。
私が行った時には、ここで男性用のアンティーク指輪の展覧会が開催されていました。この空間に展示されていると、宗教的な儀式に使われる装身具を見ているかのような気分になります。
GALLERY 1&2
外から見て右の三角形が、GALLERY 1, 2という大きめの展示室です。
表に出ている1階の部分はミュージアムショップで、展示室本体は実は地下に埋まっています。地上からだと美術館にしてはあまりにも小さい建物に見えるのですが、こういう作りになっていたのですね。
1階から階段で地下の展示室に降りたところです。
上のスリット部分が地上レベルです。地上から見ると薄く平べったい印象のある建物ですが、こんなに広々とした地下空間があったことに驚かされます。
地下に降りた後、展示室までは、細い通路をぐるっと回ってアプローチする動線になっています。この通路がとても美しく、ライトアップされたコンクリートにはまるで金属のような表情があります。
この時は、こちらのギャラリーで「100年後の未来を考える」というテーマの現代アートの展覧会が開かれていました。
作品の展示に入る前に、宇宙カレンダーというイントロダクションがあります。宇宙が誕生してから現在までを1年に縮めると、地球に生命が誕生したのは9月になってから。人類が生まれたのは12月31日で、文明と呼ばれるものが起こったのはなんとその最後の1分。気の遠くなるような長大な宇宙の歴史を振り返った時に、我々がもがき悩みながら生きてきたこの現代の数十年は、最後のほんの一瞬にすぎないということです。
この展覧会では、展示室に至る細長い通路にビッグバンから現在までの宇宙カレンダーが示されていて、それを見ながら少しずつ展示室へと歩みを進めていくことになります。光で照らされたコンクリートの通路は、何か大いなるものの目線で宇宙の歴史を辿っていく道のように感じられます。
そして、この通路を最後まで進むとついにメインの展示室が現れ、展覧会のテーマである「100年後の未来」についての作品の展示が始まります。
100年後というとうまくイメージできないほど先のことに思えますが、宇宙の歴史の最後の一瞬に生まれ、瞬く間に現代文明を作り上げた人類による、「たった100年後」の未来を変えようとする試みだと考えると少し見方が変わってきます。この空間でなければ成り立たない壮大なイントロダクションです。
美術館という施設は、単にフラットな場を提供するだけでなく、展示物と相互に影響を与え合うこともできるという新しい可能性に気づけた体験でした。