フォトジェニックな駅として有名になった日立駅です。
妹島和世がデザイン監修を務めています。日立市出身の彼女が「海の見える駅を作りたい」というシンプルなコンセプトでデザインした駅です。
SANAAのプロジェクトだと曲線や曲面を多用したり、光の透過を繊細にコントロールしているイメージがあるのですが、この駅舎は直線的かつ完全に透明です。海以外の人工物はあくまでも脇役であり、線を細く、可能な限り単純にして、海という主役を引き立てることに徹したいという意図を感じました。
駅舎は全体がガラス張りで、陸地側の入口から海側の線路に向かって、ガラスの箱で橋が架けられているような形です。
地形としては、入口のところだけ少し高台になっていて、線路はその一段下に敷かれています。そのため駅舎の大部分は地面から浮いていて、駅舎の下を電車が走っています。
このガラスの箱は、機能面だけ考えると駅の入り口から線路までを繋げばいいのですが、実際にはそれより少し先まで延びています。延長部分の突き当たりからは遮るものなく太平洋が一望でき、横に張り出した部分はオーシャンビューのカフェになっています。
ガラスの箱の突き当たりのところは、まるでステージのようになっています。この写真はそのステージを少し手前から見たところです。三方向ガラス張りになっていて、吸い込まれるような透明感があります。
ここには駅ピアノが置かれていて、誰でも自由にピアノを弾くことができます。よくヨーロッパの駅に置かれているのを旅番組で見たりしますが、日本で見かけたのは初めてでした。
ステージに近づいて海を見下ろすと、海岸には道路が走っていました。運転したら気持ちよさそうですね。
通路部分を横から見た様子。通路の下の空間はコンテナを置くのに使われているようです。
夜になると駅舎全体がピンク色にライトアップされていました。最初は驚いたのですが、遠くから見ると空の色と溶け合っていて美しいです。鉄道の駅というよりはなんだか空港のようです。