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2021/12 読書月記

  • 最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか

最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか

飛行機、石油掘削リグ、原子力発電所スペースシャトルなど、過去に世界中で起こった悲惨な事故の事例を通して、障害を起こさないための教訓を探る本です。

どれも普段縁のない世界の話なので、こういった巨大システムの機構、使われている技術などについて純粋な興味を持って読める部分もありますが、それらが事故を起こした時の悲惨さにはぞっとさせられます。多くの場面でスタッフはなんとか被害を抑えようと懸命に行動するのですが、それがことごとく裏目に出たりします。

私の仕事はIT系で、人命が失われるようなことはありませんが、やはり常に障害と向き合っていくことを求められる職業です。スケジュールを守ろうとして不備に目を瞑る、追い込まれれば追い込まれるほどメンバーが疲弊して判断力を失っていく、そして恐ろしい偶然はなぜか連鎖的に起こるといったことは、実感としてとてもよく理解できるところです。

 

  • ジヴェルニーの食卓

ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)

マティスドガセザンヌ、モネといった巨匠と呼ばれる画家について、周囲の人の目線から描いた物語です。

もちろんフィクションだとは思うのですが、読んでいて、どの話からも絵画の持つ魔力のようなものを感じました。芸術に魅入られた結果、出家して修道女になったり、年端もいかない少女がヌードモデルを務めたりすることには、私の感覚では(ドガの物語の作中でカサットが言うように)たとえ本人が望んでそうしているのだとしてもどこか痛ましさを覚えます。この物語は画家の物語である以上に、その画家に運命を変えられてしまった人々の物語のように感じました。

現代を生きる私たちにも彼らの作品の素晴らしさは伝わりますが、それらが西欧の世界で初めて現れたという時代背景を合わせて考えた時、そういった作品はもしかしたら人を狂わせるレベルの引力を持ったのではないかと思ったりしました。

 

  • コーヒーは楽しい!

コーヒーは楽しい!

分かりやすい絵とともにコーヒーのあれこれを学べます。

私はコーヒーが好きで家で淹れたりもするのですが、今までは特に知識もなく、なんとなくでやっていた感じでした。以下のようなことはこの本を読んで初めて知りました。

挽き目

  • 粗すぎると水の通る隙間が増えて抽出不足になる
  • 細かすぎると湯通りが遅く過抽出になる

湯温

  • 高いと酸味が和らぐ(浅煎り向き)
  • 低いと苦味が和らぐ(深煎り向き)

精製方式

  • ナチュラルはコーヒーチェリーを天日干しでそのまま乾燥させる精製方式。ボディがしっかりし香り豊かに仕上がる。
  • ウォッシュドは豆を水洗する方式で、ボディが軽く酸味が引き立つ。

また、私の好きな酸味が強くすっきりしたコーヒーは、エチオピア、コロンビア、パナマゲイシャ)、グアテマラなどであることが分かりました。確かにエチオピアゲイシャはとても好きで、今度他の産地も試してみようと思いました。