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国立科学博物館

日本館の建物が素敵だったので少し写真を撮ってきました。

建設は昭和初期。関東大震災からの復興事業の一環として建てられたようです。

 

展示室エリアの中央部は吹き抜けになっていて、その最上部にあるのがこちらのクラシカルなドーム屋根です。頂点には円形の美しいステンドグラスがはめ込まれ、射し込む自然光がドーム上部に柔らかなグラデーションを描きます。

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ドームの下の部分にも、四方にそれぞれ半円形のステンドグラスが飾られています。鳥や草花をモチーフにした有機的なデザインはウィリアム・モリスを思わせます。生物学を取り扱う博物館であり、絵柄からも自然の生き生きとしたエネルギーを感じますが、綺麗に枠に収まった左右対称の配置からは整った印象を受けます。

このドームは曲線と直線の対比がとても美しいと思うのです。優美な曲面は、規則的な長方形の装飾で埋め尽くされています(例えが悪いかもしれませんが、板チョコを曲げたみたいに)。その衝突がこのドームにある種の緊張感を生み出し、充実した表情豊かな空間を形作っていると思います。

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ここは展示室の端の階段部分です。ドアのデザインがユニークで、私にはフクロウの顔のように見えました。外側に緩く折れる手摺の形作るラインに感動して写真を撮りました。アール・デコの世界です。

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階段を上って最上階まで行くと、天井に大きなステンドグラスが飾られています。孔雀の羽と植物を組み合わせたような美しいデザインに目を奪われます。 

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このようなスタイルは、ネオ・ルネッサンス様式とかセセッション様式と呼ばれているようです。

セセッションというとウィーンの分離派会館が思い浮かびます。そう言われてみると、分離派会館もこの日本館と同じような構造をしていて、中央にあの金のキャベツのようなドームを頂き、その周りを取り囲むように展示室が連なっています。また、ステンドグラスや欄干の意匠からは、セセッションが影響を受けたアール・ヌーヴォーやアーツ&クラフツ運動のスタイルを感じることができます。

 

 

建物の話ばかりになってしまいましたが、常設展の展示もボリュームがあり、とても面白いのでおすすめです。私はド文系で、科学と言われるとちょっと身構えてしまうタイプの人間なのですが、一般の人にも親しみやすい、身近な視点から科学の面白さを解説してくれるような展示がたくさんあります。