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ワタリウム美術館

ボーダーの模様と幾何学的な外観が目を引く現代アートの美術館です。

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www.watarium.co.jp

 

設計はマリオ・ボッタ。彼の作品は日本でここにしかないそうです。

この施設は複合的な機能を持っていて、1階が美術館の受付とミュージアムショップ、2階〜4階が展示室、地下1階がカフェと本屋になっています(なお1階と地下1階は室内撮影禁止です)。基本的に各階の展示室は独立していて、建物の真ん中を貫くエレベーターか、建物の左側(アーチ状の部分)にある外階段で移動します。

 

ミュージアムショップにはいろいろと面白いものが売っています。

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2階・3階の展示室の内部です。打ちっ放しのコンクリートや天井の剥き出しのグリッドが強い存在感を放ちます。ドアの取っ手がとてもスタイリッシュで、想像よりずっと軽い力で回せるのが不思議でした。

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天井には黒くペイントされた換気設備などが露出していて、インダストリアルな印象です。

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壁のコンクリートは、経年劣化によるものか所々ヒビが入っているのと、作品や解説のプレートを貼り付けたシールの跡があったりして使い込まれた感じを受けます。美術館として長年その機能を果たしてきた勲章のように見えました。

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この展示室のプランは以下のようになっていて、2階から3階にかけて吹き抜けがあります(灰色塗りの部分)。

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2階の展示室を順路に従って反時計回りに進んでいくと、この吹き抜けの部分で突然天井が高くなって驚かされます。私が行った時には、この空間が天井から吊るす大きな作品の展示に使われていました。

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なお、この吹き抜けにはかなり高いところに窓があり、そこからも光を取っていました。思い切り見上げないと気づかない高さです。

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4階に上がるともう一つ展示室があるのですが、ここは自然光の入る明るい部屋で、2階・3階とは印象がかなり変わります。入り口には大きな窓があります。

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この窓の手前にある空間は何だろうと思って手すりの下を覗いてみると、先ほどの吹き抜けのハイサイドライトがこの窓だったことに気づきました。蓋をしている部分は蛇腹になっていて、ちょうどお風呂の蓋のように折り返して開き具合を調節できるようです。

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窓から入る光のおかげで展示室全体がとても明るく、まるで自室のように近い距離で作品と向き合える親密な空間でした。

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こちらは2階と3階の間の外階段です。外観においてもデザインのアクセントになる部分ですが、内側から見てもなめらかな曲線が外の景色を切り取る様子がとても美しいです。

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ここには外の様子を眺めながら一休みできるベンチも置いてありました。

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様々な空間や距離感で作品と向き合える不思議な建物でした。私は特に現代アートが分かるわけでもないのですが、作品を近くに置いたり遠くから眺めたり、閉じられた真っ暗な空間で鑑賞したりする経験そのものから、その考え方が少し体感できたような気がしました。

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