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根津美術館

外に出なくなって1か月、そろそろ自宅の景色も見飽きてしまったので、外出できた頃に行ったいろいろな場所の話をしたいと思います。

今回は根津美術館です。

 

表参道から青山通りを越えてくると、まずはこのアプローチにたどりつきます。根津美術館といえばこの場所ですね。見通しの良い軒下空間で、小さい頃に修学旅行で行った三十三間堂を思い出しました。

壁面の竹や屋根を支える鉄板などの薄さ・細さによって、広々とした空間特有の威圧感を取り払い、人が落ち着ける繊細な表情が生まれています。側面からの視線を緑が遮り、ちょうど家の軒下のように、適度にプライバシーが守られているような安心感を与えます。

建物の密集した表参道側から入ってくると、この軒下のスケール感はとても新鮮で、これから周辺の町並みとは離れた別世界に入っていくということを強く印象付けられます。

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突き当たりを左に折れるとエントランスがあります。先ほどのアプローチで細い竹が作っていたリズムを、ここからは細切れな金属板が軽やかに引き継いでいきます。板を壁面から浮かせることで薄さが強調され、冷たい感じを与えません。

下半分はなんと傘立てになっていて、雨が降っている日はここから引き出して使うようです。こんなデザイン性の高い傘立ては初めて見ました。

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美術館に入ると、展示棟の奥がとても広い庭園になっています。ここは先ほどの軒下空間の反対側にあたります。

先ほどよりは屋根の突き出し部分が短く、勾配も少し急になっていて、庭園が手の届く距離に感じます。この時はガラスに庭園の景色が反射していて美しかったです。

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庭園はとても広く、南青山の一等地にあるとは思えないような贅沢な空間が広がっています。ここを訪れたのは晩秋であったと記憶しています。紅葉した赤と緑が入り乱れる鮮やかな風景です。

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東洋の古美術を扱う美術館であるためか、庭園には、ところどころに大昔の青銅器のような装飾を施された置物があります。これはカフェの前に置いてあったもので、周囲の木々と陽の光を映した水鏡のようになっていました。

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館内の様子。展示室は撮れないので、展示室と地下のホールをつなぐ階段のところです。左側から差し込む外光とオレンジ色の照明が空間を柔らかく照らし、ガラスと金属という冷たい素材を使っていても、どこかほっとするような温かさを感じます。

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