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2020/2 読書月記

メイドインアビス(1) (バンブーコミックス)

映画「深き魂の黎明」を観てからすっかりハマってしまい、単行本を全部買いました。

久しく忘れていた冒険のロマンを思い出させてくれる作品です。昔好きだったウィザードリィの世界や、エベレストに挑む登山家たちの物語が別の形を取って蘇ってくるようでした。ウィザードリィには『隣り合わせの灰と青春』というノベライズがありましたが、リコたちが進む道のすぐ隣には灰――つまり死が、あるいはミーティやイルミューイのような死よりも残酷な道へと落ちる穴がぱっくりと口を開けています。彼らの青春はあまりにも過酷な世界にあり、死と隣り合わせの壮絶な環境だからこそ、生命は極限まで濃密な色彩を見せるのです。

冒険そのもの以外にも、ダンジョン飯の作り方やモンスターの生態についての描写が詳しく、冒険の手触りを感じられるのが面白いです。あとキャラデザがとてもかわいくて好きです、特にナナチが。

 

ヘルタースケルター (Feelコミックス)

いつか読もうと思ったまま長いこと忘れていたのですが、沢尻エリカさんの件で久しぶりに思い出してついに手に取りました。

世間から見れば「人気絶頂の時に突然のスキャンダルで破滅した悲劇の物語」なのかもしれませんが、りりこは自分が破滅に向かっていることなんて初めから分かっていて、葛藤の中、その限られた時間をがむしゃらに駆け抜けたのでしょう。それはそれでやりきったということであり、彼女にとっては誇らしいものなのかもしれません。

ファッションや言葉遣いが全体的にレトロで、コテコテのバブル文化を味わえます。

 

新釈三国志 上 (日経ビジネス人文庫 グリーン と 1-4)

実は今まで三国志に一度も触れたことがなく、これが初三国志です。

戦いの物語をドラマチックに描くというよりは、各陣営を組織論の切り口で分析するような本です。何をすると部下の力を引き出せるのか、逆に何をすると部下に裏切られるのかという事例が詰まっていて、現代人にも参考になります。自分の仕事上の振る舞いを振り返ってみると、これでは周りのメンバーが安心して力を発揮できないだろうな、と反省するところもありました。

また、出来事や人物を日本史に例えて解説してくれるので、イメージが持ちやすくてありがたかったです(別に日本史に明るいわけでもないのですが、世界史よりは分かるので)。