八重洲にある美術館で、作品だけでなく内装もとても美しかったです。
外観。上部の波のような形状が特徴的です。途中で構造が切り替わっていて、上がオフィス、下が美術館になっています。
建物に入ると、1階にはチケットカウンターとミュージアムカフェがあります。
床や壁はまるで夜空に星が瞬いているようで、とても綺麗でした。オフィスビル然とした外観からは想像できない豊かな空間です。
ミュージアムカフェは落ち着いた雰囲気で、アーティスティックでおいしい食事が頂けます。食器なども内装とリンクしていて隅々まで美しいのですが、食事の量は少ないかもしれないです。
2階への階段。手すりが浮かび上がるような間接照明がとても綺麗でした。
この階段を上がって2階はミュージアムショップになっています。カフェの真上に浮くような形で設計されているのと、細い線が多用されているおかげか、雲のように軽やかな印象を与えます。
天井と商品をディスプレイする棚には同じパターンが使われていて、壁の模様との連続性が意図されているようです。
ここからさらにエスカレーターを上がると3階に到着します。
3階から上が展示室になっています。建物の入り口側に各展示室を貫くダイナミックな吹き抜け空間があり、3階と4階を巨大なエスカレーターが繋いでいます。
最初見た時はエスカレーターに乗って展示室に行くのかなと思いましたが、実はこれは出口です。順路としては、エレベーターで6階に上がってから5階、4階と降りていき、最後にこのエスカレーターで3階に戻ってくる形になります。
展示室に向かうエレベーターはなんと金色で、非日常感に期待が高まります。
エレベーターを降りると6階の展示室に到着します。
スタイリッシュな椅子とオブジェに迎えられますが、なんだかオシャレすぎて座ってはいけないような気がします。ここが企画展示室の入り口になります。
企画展示室は私が行った時は細かく部屋が区切られていましたが、もともとは1個の大空間で、展示の内容に応じて任意の形に仕切って使っているようです。
6階から5階に降りるエスカレーター。光が下の階に吸い込まれていくようでとても美しかったです。
逆から見たところ。サイン類は光の線で表現されています。
5階展示室。右のガラスの部分は吹き抜けになっていて、4階の様子を見下ろすことができます。
同じ場所を4階側から見るとこんな感じです。4階の展示室はこのようにいくつかの小部屋に区分されていて、まるで作品が自室にあるかのような距離感で鑑賞することができます。
4階にある真っ暗な展示室。余計な情報を排除し、映画館のような空間で作品と向き合えるようになっています。
展示室以外のエリアには、エレベーターと同じマットな質感のゴールドが効果的に使われていました。ここにも彫刻作品などが置かれています。
このエリアの奥にはライブラリスペースもあります。
吹き抜けになっていてとても天井の高い空間です。インパクトのある壁は、パラパラとめくった本のページをイメージしているようです。
逆に下から見上げると、天から光が降り注いでくるようで壮観です。
展示を見終わったら、先ほどのエスカレーターで入り口に戻ってきます。エスカレーターの前に置かれている細いワイヤー状の不思議な装飾は、空間を柔らかく仕切る効果を生んでいます。
私がここを訪れたのはこれを書いた数ヶ月前で、柴田敏雄と鈴木理策という写真家の展示が行われていました。セザンヌなどの画家の作品と対比させ、表現の手法自体は写真と絵画で異なるものの、対象への眼差し、アプローチの共通性を問いかけるような流れで、キュレーションの力を強く感じた素晴らしい展示でした。
展示を見終わって振り返ると、この美術館の芸術についての深い見識が、展示だけでなく建物にも隅々まで行き渡っていたんだなと感じました。