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瑞聖寺

白金台にあるお寺です。

 

www.zuisho-ji.or.jp

 

入り口近くに江戸時代に建設されたという歴史ある「大雄宝殿」があり、隈研吾設計の新しい建物がそれを後ろからコの字型に囲むような形をしています。

コの字型の内側の部分には水が張ってあり、真ん中にぽつんと舞台のような空間が浮かんでいます。

 

このミニマルな水盤には、厳かな本堂の姿がまるで逆さ富士のように映ります。歴史ある本堂とそれを取り囲む現代的な建物がこの水盤によって接続され、一体になっているような印象を持ちました。

 

新しい方の建物は寺に付随する施設で、寺務所や法事の時の待合室などに使われているようです。

この深い軒を見ると根津美術館が思い浮かびます。根津美術館においては美術館の世界に引き込む役割を担っていた印象ですが、この建物の場合は水盤を三方向から囲む額縁のように見えました。

 

逆方向から見たところ。ガラスへの映り込みが美しいです。

 

柱が表に出てこないので、まるでガラスの箱の上に木の屋根が乗っているかのように見えます。屋根を支えることができているのが不思議なくらい軽やかな建物です。


重厚感のある古い建物と薄く透明な新しい建物が同じ空間に静かに存在し、不思議と調和しているという印象でした。新を旧に似せるのではなく、新では自らのスタイルを貫いてそれを旧と接続するという試みが、ここでは見事に成功しているのだと感じました。